プワゾンドールズ #3
- ハッピーエンド クリスマス -






ベリーベリースイートナイトメア

6.ドリームダイバー


 町の中に浮かび上がる、一つの巨大なミラービル。

 五角形のその建造物の外観は素晴らしく整っていた。

 しかし地上に出ている部分はほんの一部で、大部分の研究施設等は地下にある。

 人工臓器の開発で急激に成長した巨大医療企業オシリス・クロニクル社だ。

 紅緒の運転する車の中から少しだけ眼を細め、朝焼けの中にそびえる天を突くそのビルを眺める。

 ここは私の生まれた地でもある。

 ここの地下施設で人工授精によって私という人間は誕生した。



 社へと戻ったのには理由がある。

 プリズムの治療に地下施設のある装置を使用する為だ。

 プリズムは先に社へと送ってある。

 彼女の悪夢に作業員が取り込まれやしないかという事が唯一の気がかりだったが、先ほど入った連絡によればつつがなく完了したようだ。

 社の裏の広い駐車場に車が止まると、降りてから数回首を鳴らす。

 「いよいよだ」

 アタッシュケースを手に取ると、深呼吸して自分を落ち着かせる。



 紅緒と本社の正面入り口から中へ入ると、一番最初に向かえてくれたのは15歳ほどの少年だった。

 背中に流した長い輝くばかりの金髪をなびかせ、白衣に身を包んでいる。

 しかし端正(だと思われる)な顔は、スターライトスコープのような機械製のゴーグルが覆っていた。

 彼は盲目な為、このゴーグルを脳の視神経に繋いで視力を得ているのだ。

 私と紅緒を見つけるなり彼は甲高い陽気な声を上げた。

 「やあネク! 今日社に来るってんでずーっとここで待ってたんだよ」

 漫画雑誌を置いてベンチから立ち上がると、彼は両手を開いて私達のほうに小走りに駆け寄ってきた。

 社の玄関であるこの吹き抜けになっているホールは恐ろしく広く、採光の角度を充分に考えて光に満ちた空間となっている。

 背広の男たちが忙しげに行き交う中、彼だけが妙に浮いて見えた。

 「んー紅緒君は相変わらず美人だなあ。僕の鉄の目に焼きついてしまうようだ」

 私を押し退けると彼は隣に立っていた紅緒の手を取り、口元だけキザに笑って見せた。

 「パンハイマ博士も相変わらずお元気で…」

 紅緒は困ったような顔で笑って少年を見下ろした。

 相変わらず酔っ払ったオヤジのようなヤツだが、彼が三博士の一人と呼ばれる外科医であり細胞学の権威でもあるハンス・パンハイマだ。

 『常軌を逸した天才』と言うのがパンハイマの通称である。

 何故なら生まれて三ヶ月で里親に挨拶をしたというのだからな。

 彼と私、そして神経学の専門である草園陽子君の三人が三博士と呼ばれている。

 特に人工臓器の開発に大きく貢献したパンハイマは、この男がいてこそのオシリス・クロニクル社だと言うワケだ。

 人間は脳を生きているうちに全体の20%ほどしか使わないという話を知っているだろうか?

 私達三人は全員が社の試験官で生まれたのだが、胎児の時点で脳を少々イジられている。

 かつて調べた事があるがパンハイマは脳のほぼ100%が活動している。当然草園君と私もそうだろうな。

 天才として目覚めるのは三人ともまちまちだったがパンハイマは大体15歳頃で、その時自分の細胞に少々手を加えてそれ以上歳を取らない

 ように組替えてしまったという過去を持つ。

 しかしどういう訳だか眼球の細胞だけが活性化せず、彼は肉眼での光を失っている。

 私の記憶が正しいのなら今年で彼は36歳だが、今パンハイマは初めて会った時と同じく15歳のまま姿を留めていた。

 「久し振りだな。ドイツの学会に行っていると聞いていたが」

 「いやあ、あーんまり退屈だからさあ。とっとと切り上げて帰ってきちゃったよ、アハハハ」

 金髪をかきあげるとパンハイマが子供のように笑う。実際子供だが。

 当然パンハイマ自身が学会で発表している訳ではなく、別のある成人男性が行っている。

 そりゃそうだ。子供が学会の場で細胞学について述べてもほとんど冗談だろう。

 「でも戦利品はバッチリゲットしてきたよ。いやあドイツでも日本のコミックに影響を受けたかどうだかわかんないけどさあ、

 結構漫画の種類があるんだ。ジャパニーズコミックはやっぱり偉大だよね」

 パンハイマはあるマンションの一階層すべてを貸し切って自宅にしているのだが、すべての部屋が世界各国の漫画で埋め尽くされている。

 ある程度仕事をこなすと彼は自宅に帰ってしまい、漫画を読みふけるという生活をしている。

 彼の両親(と言っても精子と卵子だが)は両方ともヨーロッパ人なのだが、日本語が異様に堪能なのは日本の漫画を読みたいが為の猛勉強の

 結果というバカなのか天才なのか区分しがたいヤツなのである。

 だけど何故かパンハイマは憎めない男だ。

 ユーモアと知性を持ち合わせ、決して人を憎まない天真爛漫な性格のせいだろう。

 キザっぽいセリフもあいまってか女性社員の間では人気者である。最も紅緒はどうだか知らんがね。

 パンハイマのお喋りに付き合いながら、私達は人通りのない作業員用の通路へと向かった。



 入り組んだ薄暗い通路を進む間、パンハイマは喋りっぱなしだった。

 内容は主に女性関係だった。自分が今までにいかに素晴らしい女性達と出会ったかを声高に語っている。

 本当によく喋るヤツだ。

 人目のつかない場所にある、チタン製の頑丈な金庫のような扉の前でくると私達はそれぞれのIDカードを取り出した。

 ここから先はオシリス・クロニクル社の社員の中でも一部の人間しか入れない地下区域だ。

 指紋・声紋・網膜のパターンとIDカードの四つが一致して初めてここを通過する許可が得られる。

 観音開きに開いた重そうな扉を通過すると、パンハイマを先頭に私達は地下へと続くエレベーターへと入った。



 数分後、私は懐かしい湿った地下のニオイを感じていた。

 数ヶ月前までこもりっきりだったオシリス・クロニクル社の地下研究施設へ帰ってきたのだ。

 コンクリートの壁に、天井に並んだ蛍光灯。

 寒々しい雰囲気だが、何故か私はここが懐かしい。

 「最近ここ、ネズミが出るらしいよ。コードを齧られたとかで結構問題になってんだ。

 えーと…用があるのはBの534ブロックだったよね? 案内するよ、ネクは相変わらず方向音痴だろ?」

 そう言うとパンハイマは軽い足取りで足音を響かせながら通路を歩き始めた。

 一応長期に渡って利用する者の精神的な負担を考えてここの通路はどこもかなり広く明かりも多めだが、ここの圧迫感が苦手な紅緒は

 押し黙っていた。

 私は何ヶ月でもここにカンヅメになるのは平気だが、彼女は良くて一週間が限界だと愚痴っていたな。

 パンハイマに至っては鼻歌でも歌いそうな足取りだ。我が家のようなものなのだろう。

 「『ドリームシンクロナイザー』を使うんだろ?どんな患者で何をするのさ」

 「企業秘密だ。ところで草園くんは?最近会ったかね」

 「陽子ちゃんの事?ああ、前会った。社のクリスマスパーティには出席するって言ってたよ」

 「先生。ドリームシンクロナイザーって言うのは…」

 口を挟んだ紅緒に振り向きながら、そう言えば説明していなかった事を思い出す。

 「そういえば君は知らんか。ついたらわかる、そこで治療の手筈もすべて話そう」

 「先生の説明っていっつも簡潔すぎるから」

 紅緒が眼を細めてふふ、と笑う。

 その笑顔が少し、私には痛かった。

 後に彼女には酷な宣告をしなければならない。



 数分間通路を歩くと、やがて『第3特殊脳波実験室』の表札が降りている実験室の前までやってきた。

 不意にパンハイマが振り返ると、思い出したように言った。

 「ああ、そうそう。ウチの下請けのヤザワ火研に知り合いがいてさ、クリスマスパーティに面白い余興をやるんだって。

 僕も内容を聞いたんだけどなかなか魅力的だよ、ネクも今回の仕事が片付いたら手伝ってみない?」

 ヤザワ火研とはドールズの兵装を受け持っている我が社の下請け会社で、正式名称はヤザワ火器研究所だ。

 何故兵器開発の会社が下請けになっているかというと、これがまた色々複雑なのだが…

 「面白そうだな。ま、そろそろ溜まっていた休暇を取ろうと思っていたところだしな。引き受けよう」

 「約束だよ。じゃあね」

 去ってゆくパンハイマを見送っていた紅緒が、驚いた顔で私に向き直る。

 「どうしたんですか先生?先生がああいう事に興味を示すなんて…」

 「たまにはいいじゃないか。仕事ばかりの人生なんてつまらんよ」

 ついそんな言葉が口から出たが、まあたまにはそんな余興もいいだろう。

 紅緒は眼を丸くして驚いていたがね。



 第3特殊脳波実験室の中に入ると、すでに数名のスタッフが準備に取り掛かっていた。

 室内の奥には様々なチューブやコードがつなげられ、ごてごてと様々な装置が後付けされた見てくれの悪い機械が置かれていた。

 その機械と繋がったベッドが二つあり、ベッドの脇のフックにはヘルメットがかけられている。

 ベッドの一つには先客がいた。

 眼を閉じて横たわり、かすかに胸が上下しているピンクの髪の少女。

 プリズムだ。

 すでに頭や額に様々な装置を取り付けられている。処置は済んでいるようだな。

 「そろそろ聞かせて下さい。何が行われるんですか?」

 「私がプリズムの夢に乗り込む。今までは受身に回っていたが今度はこちらからプリズムの中核に攻め込むワケだ」

 紅緒が眼を剥いた。

 「アレはドリームシンクロナイザーと言ってな、まあ詳しい説明は省くが片方が見ている夢をもう一人も共有する事ができる装置だ。

 脳波の調節や何かに膨大な時間がかかったがね…私も開発に関わっている」

 「正気ですか?!聞かせてもらった限りのお話じゃとても危険な筈じゃ」

 すでに紅緒には二度目のプリズムの悪夢の世界で体験した事も話してある。

 私は上着を脱ぐと勤めて冷静に言った。

 声に優しさを込めてはダメだ。彼女にそれを実行するのは何故かとても困難だった。

 頭の中で何かが妨害していたからだ。

 「君は今日限りで私の助手を解任する。前の職に戻りたまえ」

 「!?」

 「はっきり言うが足手まといなんだ。推薦状は書いてやる、心配するな」

 紅緒の表情に一気に翳っていった。

 「待って下さい!突然、そんな…私は先生を」

 「話す事など何もない。君は私にとって仕事の上での付き合いだ、変わりなどいくらでもいる」

 食って掛かる紅緒に私は冷たく言い放った。

 彼女の拳が震えているのがわかった。



 肩を落として退室した紅緒を見送りながら、私は内心良心が痛んだ。

 今回は下手をしたら私は死ぬだろう。

 オシリス・クロニクル社の三博士と呼ばれた私の監視役に選ばれながら私を死なせる事になれば、紅緒の責任の追求は免れまい。

 社は失策をした者の責任の追及には同情はない。

 …私と違って紅緒はこの世界の優しさや愛情を受け取るに足る人物だ。

 きっと幸せになる道はある。

 「…わかってくれ、君の為なんだ」

 紅緒が消えたドアに私はふとつぶやいてみたが、声はすぐにスタッフたちの声にかき消された。

 何故か、心の一部が抜け落ちたような気分だった。



 「オペレーターを務めます中尾です。改めてよろしく」

 準備が整い、スタッフたちが持ち場についた時中尾が話し掛けてきた。

 ドリームシンクロナイザーの開発の際に知り合った、なかなか有能な男だ。

 「ご存知の通りドリームシンクロナイザーを本格的に使用するのは今回が始めてです。

 どんな不測の事態が起こるのか…」

 「動き出したらあとはスタッフと装置を信じるしかないというワケか。なかなかハードだな」

 「しかし今回の試みが成功すれば我々は必ず歴史に名を残せます」

 私はあまりそういうのには興味はなかったが、とりあえず興奮気味の中尾の背を叩いて信頼の意思を表示した。

 手にしていた脱いだ上着を背後に差し出し、すぐに今まで受け取っていた人物がついさっき部屋を出ていった事を思い出す。

 紅緒がいつもいる空間だけがぽっかりと空白になっていた。

 そのへんの椅子に上着をかけると、中尾に呼ばれて装置の前へと向かう。

 頭から紅緒のことを追い払うのは難しかった。



 睡眠薬を飲まされて数十分ほど経っただろうか?

 さっきまで私はプリズムの隣のベッドの上で朦朧とした意識の中を彷徨っていた。

 頭の中のもやが晴れた時、ベッドの脇に立っていたのは沈鬱な表情のミルだった。

 少しずつ晴れてくる視界の中から、ミルが浮かび上がってきたと言った方がいいだろう。

 彼女は大きくため息をついて横たわっている私の眼を覗き込んで言った。

 「ここまでムチャをするとは思わなかった」

 「天才は受身に回ったら終わりなのだよ」

 上半身だけ起き上がらせると、そこはさっきと寸分変わらない研究所の中だった。

 ただし隣のベッドのプリズムを含め、ミル以外の誰もいない。

 先ほどまで誰かがいたような、煙草の吸殻や湯気の立つコーヒーはそのままだったが。

 「ネク。貴方どれだけムチャをしたのかわかってるの?そりゃ最短距離でママに会いに行くにはこの方法は絶好だけど…

 ここで貴方が死んだらスピリットだけが消滅する、つまり現実世界の貴方は植物状態になっちゃうのよ?」

 「ああ、そうなのか」

 立ち上がると大きく伸びをする。別段体はだるくもない。

 前回現実世界に帰還する直前にミルから聞いた話では、あの場所から直接ママに会いに行く事はできないらしい。

 あの場所だけ空間が屈折し、蜃気楼のようにママの姿を映し出しているだけだと言う。

 つまりプリズムの夢の中に飲み込まれるのを待っているだけでは根本的な解決にならんのだ。

 「ああ、そうなのかって。天才と何とかは紙一重ってホントなのね」

 ミルがあきれて肩をすくめる。

 机の上にあった誰かの飲みかけのコーヒーを目覚めに飲み干すと、私は振り返ってさも当然だと言わんばかりに彼女に答えた。

 「私も常々そう思っているよ」



 室内の入り口付近のロッカーから銃とマガジンを数個を取り出す。

 あらかじめ用意してもらっておいたもので、オートマチックの銃はホルスターにぴったり収まった。

 装備課から借りてきたもので、初心者にも扱いやすいグロッグとか言う銃だ。

 実際前回紅緒に貸したものと比べると幾分軽く、手に吸い付くようだった。

 他にも細かい装備を取り出すと身に付け、ドアの前で待っていたミルに声をかける。

 「夢の中でも現実世界で行っておいた準備は無駄にはならんようだな」

 「ネク」

 ドアに預けていた背を放して私に向き直ると、ミルは決心したような口調で言った。

 「もうここから先は私は貴方を守り切れないわ」

 「自分の身は自分で守るよ」

 「聞いて。貴方が考えているよりナイトメアウォーカーはずっと強大なの。

 …あいつ、少しずつ大きくなってきているのよ。多分ママの影響を受けているんだと思う…

 このドアの先からはナイトメアウォーカーの胃袋も同然よ。だから」

 ミルは私に歩み寄ってくると、椅子を踏み台に書類やノートが乱雑に置かれている机の上に立った。

 私の顔を見下ろしながら、私の額に指先をくっつける。

 「戻れと行っても無駄だぞ」

 「違うわ。いい?これから私と貴方は一体になるの。貴方を守りながらじゃあ戦えないからね」

 「どういう事だ?」

 「ちょっとの間だけ眼を閉じて」

 私がミルの言葉に従って眼を閉じる。

 額に感じるミルの指先の感触が、一瞬熱くなったような気がした。

 次の瞬間まぶたを通して閃光に眼を焼かれた。バヂンとミルの指が触れていた額の一部分に電撃が走る。

 私が驚いてのけぞり、瞳を開くと目の前からミルの姿が消えていた。

 「…ミル?」

 すぐに私の頭の中から返事がきた。

 「聞こえる? ネク」

 「…なるほど。そういう事か」

 頭の中で声がするというのは大変不快感を催すものだったが、すぐに慣れるとミルは言った。

 外へと続くドアのノブを握った時、頭の中でノイズ音の混ざった別の声が聞こえた。

 『博士?聞こえますか』

 「中尾くんか?」

 『はい、そうです。患者の意識へのコネクトは成功したんですね!?』

 「ああ。そのようだな」

 「誰?」

 ミルが私に問い掛けた。

 頭の中で二人同時に話され、私は一瞬気が狂いそうになった。

 「二人共落ち着け、こっちは中尾君と言って私の仲間だ。安心しろ。

 中尾君、たまに少女の声が混ざるが知り合いだ。気にしないでくれたまえ」

 『はあ』

 「ふーん」

 今の私ははたからはどう見ても脳で電波を受信しているヤツだが、この際気にはしていられない。

 二人に無理矢理納得してもらい、外へと続くノブを回転させた。



 すぐに生ぬるい、血の臭気が混ざった風が鼻をついた。

 ドアの向こうに広がっている世界は、悪魔が気まぐれに描いた絵のような世界だった。

 外観だけは普通の住宅街だ。空はどんよりと曇り、周囲に灰色の光を落としている。

 道路の脇に並ぶ街路樹には、やせこけた男が数人何百本もの釘で打ち付けられていた。

 いずれも口の端から血の混ざった唾液を飛ばしながら、しきりに絶叫のような笑い声を上げている。



 道路の脇にうずくまり、子守唄を歌っている母親がいた。

 しかし毛布に包まれて抱かれているのは、一抱えもある何か幼虫のような生き物だった。

 人間のものを悪趣味にディフォルメしたような顔は、甘えるような声を上げている。



 巨大なタービンのついた車の前に何人もの人が並んでいた。

 中に入れた肥料を粉々に砕いて撒き散らす機械を搭載したトラックだ。

 並んだ人々は順番にその中に飛び込んでいた。

 一人が飛び込むごとに風の中の血の臭気が濃くなる。



 道路には人間の顔が浮かび上がっていた。

 数秒ごとにそれは表情を変え、アスファルトの中で浮沈を繰り返していた。



 狂っている。何もかもが、狂っている。



 「正気を保っているのが難しそうな世界だな」

 この世界の狂気に圧倒された私は、額の汗を拭いながら言った。

 「いい?私の言う通りに進んで。ナイトメアウォーカーはこの世界のどこかで必ず私達に罠を張ってるわ」

 「この世界は?なんなんだ」

 恐怖に声が強張っているのを感じた。

 ミルが哀しそうに返事を返した。

 「…この先にママがいるの。ママを閉じ込めている悪夢の壁とでも言おうかしら」

 すぐに気を取り直したのか、ミルが毅然とした声に変わる。

 「迷子になったら永久にこの世界で暮らすハメになるわよ、私の言う事を良く聞いて絶対勝手なマネはしないでね。いいわね?」


















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