プワゾンドールズ #3
- ハッピーエンド クリスマス -
NG集
! 注意 !
必ず本編を読み終わってから読もう
(シスター・マリア16話『ケーブルワーム』より)
敵の正体が掴めないという霞がかかった現状は全員の心に大きな不安という影を落とし、それはじわじわと焦燥へと
変わって心を覆って行く。
斥候の女は男が唾を飲む音を聞いた。
それから一呼吸遅れて通路から何かが噴き出した。
その『何か』が出現したという報せを受け、隊長の合図を受けて兵士の一人が照明弾を闇に打ち込む。
破裂し、暗黒を切り裂いた不意の閃光の中で、闇の奥から這い出してきたそれはゆっくりと身をもたげて兵士達を歓迎した。
ちくわだ。
ドラム缶の四倍近い、乗用車くらいなら丸呑みにできそうなちくわのような生物が鎌首を上げて一同を見下ろしている。
目も鼻もなく、茶色の焦げ目を残して生白く輝く全身の先端には巨大な円形の顎がくっついていた。
それが開かれると口腔の内側の白い肉がこぼれ、ちくわは相手を威嚇するように空気が漏れるような鳴き声を上げた。
闇に飲まれてわかりにくいが、このちくわは更に何千、何億という大量の腕くらいの太さの同じちくわが絡み合って一つの
生体を組み上げているようだ。
それら一匹一匹のちくわもまたウネウネと身をくねらせて動いている。
その中から一匹が大きく宙へと伸びると、くるくると動き回り己の体を用いて何かの記号のようなものを描いた。
それが終わるとちくわの一部はアーク灯のように輝いてそれを浮かび上がらせる。
ヤマサのマークだった。